夏季インターン、冬季インターン、無給インターン、給料がもらえるインターン、ベンチャーのインターン、大手のインターン、短期のインターン、長期のインターン、、、
インターンには色々な種類があるが、学生がだれでも無条件で参加できるわけではない。
全員参加できるものは少なく、大抵が「面接」を突破しなければ本選考には進めない。つまり、能力が高い学生にしかインターンに参加するチャンスは与えられないということになる。
そこで、インターンの選考を通過するために準備しておくべき、頻出質問の答え方と、4つの基本について紹介する。
就活の本番を迎えるにあたって、社会とはどういうものなのか、ビジネスとはどういうものなのか、ということを学ぶためにインターンに参加しておきたいという学生も多い。きっとあなたもその中の1人だろう。非常に良い心構えだと思う。
ただし、全員参加ではない、つまり落とされる可能性がある以上、何も準備をせずに望むのはあまりにも無謀だ。倍率の高い人気なインターンほど、一層の準備が必要になる。
そこで、就活を有利に進めるために、面接を確実に突破してインターンに参加するために今のうちから準備しておきたいことについて、本当に簡単なものから解説をしていこうと思う。
1.インターンとは何なのか、を理解しておく
インターンの種類
インターンには大きく分けて2つの種類がある。
1)短期インターン
「1dayインターンシップ」といった言葉が近年よく聞かれるが、1日や2日、長くても2週間程度で終わるインターンのことで、大手企業で実施されるケースが多い。時期としては主に夏と冬。特に夏頃になると、金融系の企業を中心にインターンの情報で溢れかえる。
内容は短期なのでそこまで濃くはないが、「企業説明やオフィス見学」→「グループワーク」→「社員に向けて発表」という流れで進んでいくケースが一般的だ。インターン生のためにカリキュラムを組んでいるため、実際の業務を体験できるわけではないということを注意してほしい。
また多くの場合、無給で交通費も出ない。
2)長期インターン
主にベンチャー企業で実施されるインターンで、基本的に期間は設定されておらず、会社側と相談して決める。
短期インターンとは性質が全く異なり、インターンというよりは「長期の企業アルバイト」と言った方がしっくり来るかもしれない。実際の業務を体験し、成果(ノルマ)も求められる。新規事業を学生だけに任せてくれるケースもよくある。その代わり、交通費や給料はしっかりと支給される。
業務の内容は、文系の学生であれば「テレアポ」や「顧客からの問い合わせ対応」、理系の学生であれば「ソフトウェア開発」や「サイト運営」「コンテンツ作成」などが基本となっているようだ。インターネットベンチャーのインターンは案件数も非常に多いことから、特に情報系でエンジニア志望の学生の市場価値は高い。
企業が考えるインターンの目的
学生にとっては職場体験ができるインターンだが、必ずしも企業側と学生側の意見は一致しないことが多いことは覚えておいて欲しい。
企業側の目線に立った時、インターンを実施する目的は大きく分けて3つある。
1)優秀な学生をピックアップしておく
これは非常に分かりやすいが、インターンの面接にも通過し、さらに実務演習を実施して高い評価を与えた学生には「ぜひとも入社し、うちで活躍してほしい」と思うに決まっている。「良い学生がいたな、はいさようなら」となるわけがない。
そこでその学生には本番選考のだいぶ前から連絡を取り、囲い込もうとする企業も多い。優秀な学生ほど他の企業へも目を向けていて、他社に取られたらマズい、と思うからだ。場合によってはご飯をご馳走したりして、「断りづらい」雰囲気を作る。
ちなみに、インターンの募集サイトに「インターンでの選考は実際の選考には一切影響しません」と書いてある企業も少なくないが、残念ながらあれはウソだ。インターン本番での活躍はもちろん、インターンのエントリーシートにはどんなことが書いてあったか、面接ではどう振る舞ったか、全て記録されていると思って欲しい。
2)企業の宣伝活動
インターンに参加すれば、その企業のことを深く知ることができ、場合によってはその企業のことを大好きになるはずだ。学生がこういう気分になった場合、企業にとってはメリットしかない。その学生が企業にとっての広告塔になって周りに評判を伝え、仮に入社しなかったとしてもその学生は、お世話になった企業との縁を切ることができない。食品メーカーや日用品メーカーのインターンだとしたら、スーパーやコンビニで何を買おうか迷った時、その企業の商品を選ぶことになるだろう。企業にとっては大きな利益だ。
その証拠に、どのインターンもまず最初に3〜4時間位かけて企業説明会+社員との座談会+オフィス見学がカリキュラムとして組まれている。時間も限られているのだからさっさとインターンの本題に行けばいいのに、なかなかテーマが進まずにいつまでも会社説明をしている。これは、1dayインターンや2dayインターンなどの短期インターンでも同様だ。宣伝活動以外の何物でもないし、学生は会社説明を受けに来ているのではない。
3)低賃金労働者を集める
これはベンチャー企業で多くあるケースだ。要するに、インターンというのは名目だけで、実際には安い賃金で働いてくれる若い働き手が欲しいということだ。社員を雇わずに、それも非常に意識を高く持ちながら働いてくれる。企業としてそんな機会を使わない手段はない。
特に、新規事業などの立ち上げ時に人が足りなくなって募集をかけるというケースが多い。インターン生を雇って新規事業を行うのであれば、最悪その事業を失敗したとしても人を抱えるリスクもなくなるため、インターン生は打ってつけの存在だ。
ここまで聞くとあまり聞こえは良くないかもしれないが、実は学生にとってこのケースはメリットしか無い。インターンという名目だが実際の営業現場や開発現場を体験することができるため大学で遊んでいるよりは相当な力がつくし、かつ高い時給をもらえる事が多い。さらに、他社の企業の選考を受ける際にも、インターンに参加した経験を武器にして面接で戦える。学生のうちから実際の営業現場を経験できることは滅多にないため、これは非常にオススメだ。ビジネスが何なのか、社会で求められる能力とは何なのか、ピンときていないのであればぜひ受けてみることをおすすめする。
2.メリットとデメリットを理解しておく
以上のことを踏まえて、私が考えるインターンに参加して得られることは4つある。
ただし、その裏返しでデメリットもあるので気をつけていただきたい。
ESと面接を体験できる
本番の就活が始まる前に、ESと面接を体験できることは思いのほか貴重な体験だ。仮に落ちたとしても、「なぜ落ちたのか?」を考えることで自らの力となる。「私は面接苦手だから」という理由だけでインターンに行かないのは非常にもったいない。
実際の現場を体験できる(長期インターンのみ)
これは長期インターン、主にベンチャー企業にはなってしまうが、実際の現場を体験することができる。ぜひ、現場に出たら「成果を出している社員がどんな行動、どんな考え方をしているか」をよく観察してみよう。そこに、あなたが社会人として活躍するためのヒントが隠されている。また、本選考の面接で「社会人として必要な能力とは何だと思いますか?」と聞かれた時には、非常に説得力のある説明ができるようになるだろう。
なお、大手企業の短期インターンにこのメリットを求めて参加するから、多くの学生がガッカリしている。期待しても、「オフィス見学」の時間すら用意されていることはほぼ無い。
就活に意欲的な仲間ができる
これはどのインターンも共通で、意欲的な仲間の存在はやはり刺激になる。打ち上げで飲みに行くだけではなく、できれば一緒のチームになった学生とLINEやfacebookのグループを作ったりしながら、今後も情報交換ができるようにしておこう。同じインターン先に来ているということは、あなたと同じ業界を志望している可能性は非常に高い。同業界の選考情報など、出来る範囲で共有するのは就活を乗り切る上で非常に重要。
選考が有利に進む(優秀な学生のみ)
インターンでの成績優秀者は、企業から囲い込みにあい、「特別ルート」での内定が用意されることがある。つまり企業側は、インターンで極めて優秀な成績を収めた学生は、入社してからもきっと活躍してくれる、学生は意地でも入社させたい、と考えるということだ。
ただし、中途半端な優秀さでは声をかけてもらえることはまず無いので期待しておくことはやめておこう。企業側も、「このまま放っておくと競合他社に取られそうだな」と思うくらい優秀だと思うから、囲い込む。
優秀な学生の逆、インターンであまり結果が出なかった学生については言うまでもなく、「この学生は入社させる必要が無いな」という評価を受けることになる。インターンの面接で落とされた、ESで落とされたという学生も要注意だ。本選考のESを出しても、インターンの時の成績を見られて落とされる可能性が非常に高い。
以上の理由から、本命の企業のインターンに参加することはあまりオススメしない。自分が優秀な学生だと確信しているのであれば良いが。
3.面接に望む前に必ず準備しておくこと
続いてインターンの面接に進む前に用意しておくべきことを5つ紹介する。面接ではいろいろな質問がされるが、ひとまずこの5つを抑えておけば他に困る質問は無くなると思う。
①自己PR
これは言うまでもなく、全企業の面接で聞かれる。自己紹介代わりに自己PRをするように求められる企業もあるため、PRする内容とそれを裏付けるエピソードをきちんと用意しておこう。
作り方は、こちらの記事を参考にしていただきたい。
②その企業のインターンに参加する志望動機
「なんでうちのインターンに参加しようと思ったの?」という質問で、これもほぼすべての企業で質問されるので事前に用意しておきたい。この質問には、インターンとはいえ本選考のつもりで志望動機を用意しよう。
話し方としては以下の4段構成で話すと良い。
まず、就活をを行う上での企業選びの軸を簡単に話そう。(例:元々情報通信業に興味があり、御社を中心として様々な企業に対する情報収集を行っています。)
次に、その軸にそって企業研究をし、御社に辿り着いた、ということを伝えよう。(例:その中で、事業の幅が非常に多岐にわたるため社会に対して様々な形で貢献することができるという点から、御社に入社してみたい、もっと知りたい、という気持ちになりました。)
続いて、インターンに参加して何を得たいか、得たものを就活にどう活かすかを伝えよう。(例:インターンに参加できた暁には、御社が多岐にわたる事業を展開していくために大事にしている考え方や、そこで活躍している社員が持つ共通点などを知ることで、私の就職活動、そして入社前の準備のために活かしていきたいと思っております。)
最後に、参加意欲を一言で伝えよう。(例:インターンとはいえ社員の方に大事な時間を使っていただけることに感謝しながら、御社に対して貢献し、そして成果を出せるよう全力を尽くします。)
困ったら、この流れを参考にしていただきたい。
ちなみに企業はこの質問で、「うちを本気で志望してインターンに来ている学生」と「通過点としてインターンに参加している学生」という大きく分けて2種類に学生を分ける作業をこっそり行っている。先程、本命の企業のインターンに参加するべきではないと書いたが、ここでは前者の「うちを本気で志望してインターンに来ている学生」だと思われないと、面接を通過することはできない。
③インターン自体の参加動機
なぜ、長期休みの期間に「インターンに参加する」という選択をしたのか、その理由はきちんと喋れるようにしておこう。
というのも、インターンに参加する学生には色んな動機がある。積極的な学生もいれば、周りに流されてなんとなく参加しようとしている学生もいる。
もうお分かりかと思うが、企業から見た時、後者は参加されても迷惑だ。積極的にインターンに参加して、インターンでしか得られない経験を積みたい、ということをきちんと伝えよう。
④強みと弱み
これは本番選考でも頻出質問だが、インターンの面接でもかなり多くの企業で質問される。
単純にあなたの強みと弱みを聞いてきているように思えるが、実はそれだけではない。「きちんとしたロジックをつけて、強みと弱みの関係性を説明できるか」がとても重要になる。
分かりやすい例で言うと、強みが「好奇心旺盛なこと」なのに、弱みが「趣味が少ないこと」だとしたら、矛盾が生じる。
強みと弱みを説明したときに面接官が疑問に思わないよう、矛盾がないように気をつけていただきたい。
4.Kおすすめのインターン利用方法はこれだ!
ここまで、インターンの良い所から悪いところ、準備するべきことまで、いろいろな角度から説明してきた。以上を踏まえた私就活アドバイザーKがおすすめするインターンの利用方法を、学生の実力別に説明してみようと思う。
1.これまで、あまり積極的な学生生活を送ってこなかった学生
思い切って、ベンチャー企業の長期インターンに参加してみよう。
大学の授業のスケジュールにもよるが、平日の昼間、週3〜4参加できるのであれば、学歴は関係なく特に準備していなくても10社ほど受ければ1社は選考を通過できる。そして、少し仕事はキツいかもしれないが、「ビジネスとはどういうものか」「営業とはなにか」ということを学ぶ事が可能だ。また、そのインターンでの業務経験はそのまま自己PRとして就活でも使える。ついでに時給として給料ももらえるため、特にデメリットが見当たらない。
ダラダラしている学生生活に少しムチを打つような感覚でインターンに本気で参加すると、最終的に周りの学生がビックリするくらいの有名企業から内定を獲得することも、容易だ。
2.積極的ってわけでもないけど、別に消極的でもない一般的な大学生
インターンに参加するのは、一旦ストップしよう。それよりもやることがたくさんある。
おそらく、学生生活を振り返ると、それなりにPRできるようなエピソードがあるはずだ。サークルやアルバイト、大学の実習授業や地域ボランティア。まずは今持っているエピソードを元に、自己PRを作ってみよう。
また、就活のための準備として、企業研究や業界研究を行っておく。なるべく多くの企業に触れることで、自分の視野を広くしよう。企業研究や業界研究には、こちらの記事で紹介している本が最適だ。
3.かなり積極的な生活を送ってきた学生
海外留学、学生団体の設立やイベント運営、ビジネスコンテスト、文化・体育系の部活で全国大会出場など、これまでの大学生活を全速力で走ってきた学生の場合は、ピンポイントで志望している企業やその周辺企業のインターンを受けてみよう。
狙うは、「囲い込み」だ。しっかりと軸を絞り、上で説明した4つの文章を用意しておけば面接で落ちることはまず無いだろうし、インターンで実力を発揮すれば企業からお声が掛かる。本命でない企業から声がかかっても面倒なので、最低でも第3希望くらいまでの企業以外はインターンに行かないようにしよう。
仮にその企業が、1dayインターンと2weekインターンを用意している場合は、2weekを選ぶこと。もはや言うまでもないが、「積極的な学生」だということをアピールするために、1dayインターンでは弱すぎる。
以上のように、自分の能力やこれまでの経験を客観的に分析し、自分にぴったりな形でインターンを利用しよう。
あくまでも、インターンは通過点にすぎない。最終的な本番選考のことを意識しながら、どこのインターンに参加するかを判断していこう。
まとめ:インターンは通過点
以上、就活でのインターンの役割や、参加するメリットやデメリットを紹介してきた。
もしかしたら、インターンに対する印象が大きく変わったかもしれない。だが、これが紛れもない事実だ。
しっかりとインターンの定義や参加メリットを理解した上で、自分に最適なインターンはどのインターンなのか判断することが重要だし、他にもっとやることがあると思ったらインターンは諦めるというのもひとつの選択肢だ。
全ては、本番選考のために。最終的に素晴らしい内定先が決まるよう、全力を尽くしていただきたい。